「千歳」の語源は鶴の鳴く千年の湖?北海道の地名に込められた祈り


もとの名前はアイヌ語の「シコツ」とされる

「千歳」の地名のもとになったのは、アイヌ語の**「シ・コッ(シコツ)」**だとされています。これは「大きな窪地」または「大きな谷」を意味する言葉とされ、現在の支笏湖(しこつこ)とその周辺の地形を指していたと考えられています。

「死骨」の字を嫌って改名されたとされる

「シコツ」を漢字で書くと**「死骨」に通じることから、縁起が悪いとされました。そこで1805年(文化2年)、箱館奉行の命により、この地に多く飛来していたとされる鶴(タンチョウ)にちなんで「千歳(ちとせ)」**と改名されたと伝えられています。「鶴は千年」の故事にちなむ名前とされています。

「鶴は千年、亀は万年」からの命名とされる

「千歳」という名前は、中国由来の吉祥の言い回し**「鶴は千年、亀は万年」**から取られたとされています。千年を生きるとされる鶴のように、この土地が永く栄えるようにという祈りが込められた命名だったと考えられています。

支笏湖にはアイヌ語の名が残った

千歳は「シコツ」から改名されましたが、湖のほうは**支笏湖(しこつこ)**としてアイヌ語由来の名前が残ったとされています。「支笏」という漢字は当て字とされ、「死骨」の印象を避けた表記が採用されたと考えられています。

北海道に多いアイヌ語由来の地名

千歳のようにアイヌ語が原名となっている北海道の地名は非常に多いとされています。札幌(サッ・ポロ=乾いた大きな土地)、小樽(オタ・オル・ナイ=砂浜の中の川)、富良野(フラヌイ=においを持つ場所)など、多くの地名がアイヌ語に由来するとされています。

千歳空港の開設で全国区の地名になった

千歳が全国的に知られるようになった背景には、新千歳空港の存在が大きく影響しているとされています。1988年に現在の新千歳空港が開港し、北海道の空の玄関口として年間数千万人が利用する日本有数の空港になったと伝えられています。

千歳飴も「千歳」の名を持つ

七五三で子どもに持たせる**千歳飴(ちとせあめ)**も「千歳」の名を冠していますが、こちらは地名とは無関係で、「千歳=千年=長寿」の縁起を担いだ命名だとされています。細長い飴を引っ張って伸ばす様子が長寿を象徴しているといわれています。

支笏湖は日本有数の透明度を誇るとされる

千歳の地名の原型となった支笏湖は、日本有数の透明度を誇るカルデラ湖とされています。環境省の水質調査で何度も日本一に選ばれているとされ、冬でも凍らない「不凍湖」としても知られています。最大水深は363mとされ、田沢湖に次いで日本第二位の深さとされています。

千歳川はサケの遡上で知られる

千歳市内を流れる千歳川は、毎年秋になるとサケが大量に遡上することで知られています。「千歳サケのふるさと館(サケのふるさと千歳水族館)」では、水中観察窓からサケの遡上を間近に見ることができるとされています。

「シコツ」の記憶は地名に生きている

「千歳」と改名されて200年以上が経ったとされていますが、支笏湖・支笏温泉・支笏湖通りなど、「シコツ」の音は地域のあちこちに残っています。アイヌ語の地名が和名に置き換えられたとされる歴史を持ちながら、元の名前も消えずに共存している点が千歳の地名の特徴といえそうです。アイヌ語の「シコツ(大きな窪地)」が「死骨」に通じることを嫌い、鶴にちなんで「千歳」と名づけられたとされるこの土地。長寿の祈りを込めた美しい名前の裏には、アイヌ語と和語が出会い、交わっていった北海道の歴史が刻まれているといえます。