「ハヤシライス」の語源は人名?ハッシュドビーフとの関係の謎
1. 語源には複数の説がある
「ハヤシライス」の語源は確定しておらず、複数の説が存在しています。大きく分けて「人名に由来する説」と「英語の”hashed”に由来する説」の二つがあり、どちらも決定的な証拠はありません。
2. 丸善の創業者「早矢仕有的」説
もっとも有名な語源説は、丸善(書店)の創業者・早矢仕有的(はやしゆうてき)が考案した料理だとするものです。早矢仕が友人をもてなす際に、ありあわせの肉と野菜をご飯にかけた料理を出したのが始まりとされています。
3. 「ハッシュドビーフ」が変化した説
英語の「hashed beef with rice(ハッシュドビーフ・ウィズ・ライス)」が日本語に入る際に「ハッシュド→ハヤシ」に変化したとする説もあります。「hash」は肉を細かく切ることを意味し、細切れ肉の煮込みを指す言葉です。
4. 上野精養軒の「林コック」説
上野の西洋料理店「精養軒」の林というコック(料理人)が考案した料理という説もあります。明治時代の精養軒は日本の洋食文化の発信地であり、ここで生まれた料理が広まった可能性は十分にあります。
5. 「ハヤシライス」と「ハッシュドビーフ」の違い
「ハヤシライス」と「ハッシュドビーフ」は非常に似た料理ですが、日本では微妙に区別されることがあります。ハッシュドビーフはデミグラスソースで煮込んだ単品料理、ハヤシライスはそれをご飯にかけた丼物、という使い分けが一般的です。
6. カレーライスとの共通点
ハヤシライスはカレーライスと同様に、ルーをご飯にかけて食べるスタイルの洋食です。明治時代にほぼ同時期に普及した両者は、洋食の調理法と日本の米食文化が融合した「ライスもの」の双璧ともいえます。
7. 家庭では「ハヤシのルー」で手軽に
ハウス食品やエスビー食品などのメーカーが「ハヤシライスのルー」を販売したことで、家庭でも手軽にハヤシライスが作れるようになりました。カレールーと並んで主婦の味方となり、家庭料理として定着しました。
8. デミグラスソースは日本で独自に発展
ハヤシライスに使うデミグラスソースは、フランス料理の「demi-glace」が起源ですが、日本のデミグラスソースはトマトケチャップや赤ワインを加えた独自のアレンジが施されています。本場のドゥミグラスよりも甘みが強く、日本人の味覚に合わせた進化を遂げています。
9. 給食の人気メニュー
ハヤシライスは学校給食の人気メニューの一つです。カレーライスに次ぐ「ルーもの」として子どもたちに親しまれており、甘めのデミグラスソースと柔らかい肉の組み合わせが子ども向けの味として支持されています。
10. 「ハヤシ」は日本語として定着
語源が英語であれ人名であれ、「ハヤシ」という音は日本語の姓「林」と同じ響きを持ち、日本人にとって馴染みやすい言葉です。カタカナ表記の外来語でありながら日本語のように響くこの不思議な名前は、ハヤシライスという料理自体の和洋折衷な性格を映し出しています。
林さんの料理か、ハッシュドビーフの訛りか。「ハヤシライス」の語源は謎に包まれていますが、どちらの説にせよ、明治の日本人が西洋の味を自分たちの食卓に迎え入れた創意工夫の産物であることは間違いありません。