「日立」の地名の語源は"朝日の立ち昇る国"?常陸国との関係


1. 徳川光圀の言葉に由来する説が有名

「日立」の地名の由来としてもっとも広く知られているのは、水戸藩主・徳川光圀(とくがわみつくに、通称・水戸黄門)がこの地を訪れた際に、海から昇る朝日の美しさを見て「日の立ち昇るところ=日立」と称えたという逸話です。

2. 「常陸(ひたち)」との関係

茨城県の旧国名「常陸(ひたち)」と「日立」は同じ「ひたち」の読みを共有しています。「常陸」の語源にも「日が立つ」に由来するという説があり、太平洋に面した東側で朝日が美しく見える地域であることが両者の名前の根底にある可能性があります。

3. 「常陸」の語源は諸説ある

「常陸」の語源には複数の説があります。「日立(日の立つ国)」説のほか、「ひた道(まっすぐな道)」=平坦な土地が続く地形に由来するという説、古語の「ひたす(浸す)」=水に浸かる低湿地を意味するという説もあり、定説は確立していません。

4. 日立市は鉱山の町として発展

日立市は江戸時代から銅山で知られ、明治以降は日立鉱山を中心に発展しました。鉱山で使う機械の修理工場から発展したのが日立製作所であり、地名がそのまま世界的企業の社名になった珍しい例です。

5. 日立製作所の創業と地名

日立製作所は1910年(明治43年)に小平浪平(おだいらなみへい)が日立鉱山の付属工場として創業しました。会社名は所在地の地名「日立」からとられ、現在では「日立」という名前は地名よりも企業名として世界的に知られています。

6. 「日立」のつく地名は茨城県に多い

茨城県内には「日立市」のほかに「常陸太田市」「常陸大宮市」「ひたちなか市」など、「ひたち」を含む地名が複数あります。いずれも旧常陸国に属していた地域であり、古代の国名が現在の地名に形を変えて受け継がれています。

7. 日立の海岸から見える日の出

日立市は太平洋に面しており、水平線から昇る朝日が美しい地域として知られています。特に冬至の頃には海岸線から雄大な日の出を見ることができ、「日の立つ」地名にふさわしい景観が広がっています。

8. 「日立風流物」はユネスコ無形文化遺産

日立市の伝統行事「日立風流物(ひたちふりゅうもの)」は、高さ15メートルにもなる巨大な山車に人形からくりを仕掛けた祭りで、ユネスコ無形文化遺産に登録されています。江戸時代から続く祭りで、日立の名を文化面でも広めています。

9. 「日の丸」と「日立」の関係はない

「日立」と「日の丸」はともに「日」を含みますが、語源的なつながりはありません。「日の丸」は太陽そのものを丸い形で表した意匠であり、「日立」は日が立ち昇る場所を意味するため、太陽に関する点では共通していますが、成り立ちは異なります。

10. 「この木なんの木」と日立

日立グループのテレビCMで使われた「この木なんの木 気になる木」は日本でもっとも有名なCMソングの一つです。地名としての「日立」を知らない人でも、企業としての「日立」はこのCMを通じて広く認知されており、地名と企業名が不思議な形で共存しています。


朝日が立ち昇る美しい海岸線に名を得た「日立」。その地名は鉱山の時代を経て世界的企業の名前となり、今では元の地名以上に広く知られる存在になりました。一つの地名が産業史と結びついた稀有な例です。