「くしゃみ」の語源は呪い?噂?世界共通の迷信がおもしろい
1. 語源は「くさめ」という呪文
「くしゃみ」の語源は**「くさめ」**という言葉です。中世の日本では、くしゃみをすると魂が抜けると信じられており、魂を呼び戻すために「くさめ、くさめ」と唱えたのが始まりとされています。
2. 「くさめ」の由来には諸説ある
「くさめ」自体の語源にも複数の説があります。「休息万命(くそくまんみょう)」という呪文が縮まった説、「糞食め(くそはめ)」で悪霊を追い払う言葉だった説など。いずれも、くしゃみが不吉なものと考えられていたことがうかがえます。
3. 『徒然草』にもくしゃみの記述がある
鎌倉時代の随筆『徒然草』の第四十七段に、くしゃみの後に呪文を唱える習慣についての記述があります。吉田兼好の時代には、くしゃみ=呪文を唱えるものという認識が一般的だったことがわかります。
4. 「噂されるとくしゃみが出る」の起源
「一回で褒められ、二回でけなされ、三回で惚れられ、四回で風邪をひく」という言い伝えは江戸時代に成立したとされています。くしゃみと噂を結びつける発想は、くしゃみが外部からの霊的な影響で起こると信じられていたことに由来します。
5. 英語の “Bless you” も同じ発想
英語圏でくしゃみをした人に “God bless you”(神のご加護を)と言うのは、くしゃみで魂が抜ける、あるいは悪霊が入り込むという中世ヨーロッパの迷信に基づいています。日本の「くさめ」と根本的な発想が同じなのは興味深い共通点です。
6. 世界各国の「くしゃみ後の言葉」
ドイツでは “Gesundheit”(健康を)、フランスでは “A vos souhaits”(あなたの願いが叶いますように)、アラビア語圏では “يرحمك الله”(神のご慈悲を)。文化は違っても、くしゃみの後に相手を気遣う言葉をかける習慣は世界共通です。
7. くしゃみの速度は時速約160km
くしゃみで飛び出す空気の速度は時速約160kmに達するとされています。これは新幹線並みの速度です。飛沫は約2メートル先まで飛び、微細な粒子は数分間空中に漂います。
8. くしゃみを我慢すると危険?
くしゃみを無理に止めると、鼓膜の損傷、血管の破裂、肋骨のひびなどが起きる可能性があるとされています。くしゃみのエネルギーは意外に大きく、それを体内に閉じ込めるのは負担が大きいのです。
9. 「はくしょん」は日本語独特の表現
くしゃみの音を表すオノマトペは言語によって異なります。英語は “achoo”、フランス語は “atchoum”、韓国語は “에취”、中国語は “阿嚏”。「はくしょん」は日本語独自の擬音語です。
10. 光を見るとくしゃみが出る人は約25%
明るい光を見るとくしゃみが出る現象は「光くしゃみ反射」と呼ばれ、人口の約25%に見られます。視神経と三叉神経が近接しているため、光の刺激がくしゃみの信号として誤って伝わるのが原因です。遺伝的な特性で、正式名称はACHOO症候群です。
魂が抜ける恐怖から生まれた呪文「くさめ」。それが変化して現代の「くしゃみ」になりました。世界中で「くしゃみ=何か不吉なこと」と考えられていたのは、人類の想像力の共通性を感じさせます。