「おかし(お菓子)」の語源は果物だった?甘味の歴史をたどる


1. 「菓子」の語源は「果物」

「菓子」の「菓」は「果」の異体字で、もともとは果物や木の実を指していました。古代日本では甘いものといえば果物しかなかったため、「菓子=甘いもの=果物」だったのです。

2. 古事記にも「菓子」は登場する

『古事記』に登場する「非時香菓(ときじくのかくのこのみ)」は、常世の国から持ち帰った不老不死の果実で、橘(たちばな)のことだとされています。この「菓」がまさに果物を意味しています。

3. 奈良時代に「唐菓子」が伝来して意味が変わった

奈良時代に中国から米粉や小麦粉を油で揚げた「唐菓子(からくだもの)」が伝わると、加工した甘味も「菓子」と呼ぶようになりました。ここから果物以外の甘味を指す用法が始まります。

4. 砂糖が来るまで甘味料は「甘葛(あまづら)」

平安時代まで、日本の主な甘味料はツタの樹液を煮詰めた「甘葛」でした。『枕草子』にも「削り氷にあまづら入れて」と登場します。砂糖が普及するのは江戸時代中期以降のことです。

5. 「駄菓子」の「駄」は馬の荷物

「駄菓子」の「駄」は、馬一頭が運べる荷物の単位。「駄」は価値の低いものを指す接頭語としても使われ、「駄菓子=安価な菓子」という意味になりました。「駄目」の「駄」と同じ用法です。

6. 「和菓子」という言葉は明治以降にできた

西洋から洋菓子が入ってきたことで、それと区別するために「和菓子」という言葉が生まれました。つまり、洋菓子が来るまでは菓子といえば和菓子しかなかったので、わざわざ「和」をつける必要がなかったのです。

7. 「おやつ」は時刻が語源

「おやつ」は江戸時代の時刻「八つ時(やつどき)」=現在の午後2〜3時ごろに食べる間食が語源です。当時は一日二食が基本だったため、この時間帯に軽食を取る習慣がありました。

8. 「スイーツ」が定着したのは2000年代

英語の “sweets” が日本で広く使われるようになったのは2000年代のグルメブーム以降。それまでは「デザート」「ケーキ」など個別の名称が主流でした。「スイーツ(笑)」というネットスラングが生まれたのもこの時期です。

9. 「飴」は日本最古の加工菓子

米を麦芽で糖化して作る「水飴」は、『日本書紀』にも記述がある日本最古の加工甘味料です。神武天皇が飴を作って神に供えたという記述があり、少なくとも1300年以上の歴史があります。

10. 菓子の語源をたどると「果物売り場」の謎が解ける

デパートで果物が「フルーツ」ではなく「果物」と表記され、菓子とは別の売り場にあるのは当然に見えますが、語源をたどると両者はもともと同じ「菓子」でした。歴史のどこかで分かれた双子のような存在です。


果物から唐菓子、和菓子、洋菓子、そしてスイーツへ。「菓子」の語源をたどると、日本の甘味文化の壮大な歴史が見えてきます。