「肋骨」の語源は"あばら骨"のこと?胸を守る骨の名前の由来


1. 「肋(ろく)」は「あばら」の漢字

「肋骨(ろっこつ)」の「肋」は訓読みで「あばら」と読みます。「あばら」は「あばら(疎ら・まばら)」に由来し、骨と骨の間に隙間がある=まばらに並んだ骨という意味です。肋骨の間に隙間が空いている様子がそのまま名前になりました。

2. 「あばら家」も同じ語源

「あばら家(あばらや)」は壁や屋根に隙間があるみすぼらしい家を意味しますが、この「あばら」も肋骨の「あばら」と同じ語源です。隙間がある=まばらであるという共通のイメージが、骨と家の両方に使われています。

3. 左右12対・計24本ある

人間の肋骨は左右12対、計24本あります。上から7対は「真肋(しんろく)」と呼ばれ胸骨に直接つながり、次の3対は「仮肋(かろく)」で軟骨を介してつながり、最下部の2対は「浮遊肋(ふゆうろく)」で前方に接続がありません。

4. 心臓と肺を守るかご

肋骨の主な役割は、心臓と肺という重要な臓器を囲んで保護することです。肋骨・胸骨・胸椎で構成される胸郭(きょうかく)は「かご」のような構造で、英語でも「rib cage(肋骨のかご)」と呼ばれています。

5. 旧約聖書のアダムとイブの物語

旧約聖書の『創世記』では、神がアダムの肋骨の一本を取ってイブ(エバ)を創ったとされています。この物語から英語では肋骨を「rib」と呼び、肋骨は人類の起源にまつわる象徴的な骨として西洋文化に位置づけられています。

6. 「肋」の漢字は「月(にくづき)」+「力」

「肋」という漢字は「月(にくづき=体の部分を示す偏)」と「力」の組み合わせです。体を支える力のある骨、あるいは筋肉の力を伝える骨という意味が込められています。

7. 肋骨は折れやすい骨の一つ

肋骨は比較的折れやすい骨で、強い衝撃や繰り返しの負荷で骨折することがあります。咳が長く続いた場合にも折れることがあり、「咳で肋骨が折れる」というのは珍しい話ではありません。

8. 呼吸における肋骨の役割

肋骨は呼吸において重要な役割を果たしています。呼吸のたびに肋骨が上下に動いて胸郭の容積を変え、肺に空気を出し入れする「肋骨呼吸(胸式呼吸)」のメカニズムを支えています。

9. バーベキューの「リブ」

バーベキューや西洋料理で使われる「リブ(rib)」は動物の肋骨付き肉のことです。「スペアリブ」の「リブ」も肋骨を意味しており、肋骨周辺の肉は脂肪と赤身のバランスが良く、焼肉でも「カルビ(あばら)」として人気の部位です。

10. 「肋」を使った慣用表現

「助太刀(すけだち)」と混同されやすい「助(たすけ)」の字と「肋」は別の漢字ですが、肋骨が体を助ける(守る)骨であることから、意味的なつながりを感じる人もいます。なお、古語では肋骨のことを「脇骨(わきぼね)」とも呼んでいました。


まばらに並んだ骨「あばら」。その隙間だらけの構造こそが呼吸を可能にし、心臓と肺を守る精巧なかごとなっています。隙間があるからこそ機能する、人体の巧みな設計が肋骨には表れています。