「正座」の語源は"正しい座り方"?実は明治以降に広まった座法の由来
1. 「正しい座り方」が名前の意味
「正座(せいざ)」は「正(せい=正しい)」+「座(ざ=座ること)」で、文字通り「正しい座り方」を意味します。膝を折り、かかとの上に腰を下ろす座法で、日本の礼儀作法の基本とされています。
2. 「正座」が正式になったのは意外に新しい
正座が日本の「正式な座り方」として広く定着したのは、実は江戸時代後期から明治時代にかけてとされています。それ以前の日本人はあぐらや立て膝、片膝立ちなど、さまざまな座り方をしていました。
3. 平安・鎌倉時代はあぐらが一般的
平安時代や鎌倉時代の絵巻物を見ると、貴族も武士もあぐらや立て膝で座っている場面が多く描かれています。正座の姿勢は当時「かしこまる」ための特別な座法であり、日常的な座り方ではありませんでした。
4. 茶道が正座を広めた一因
正座が広まった背景には、安土桃山時代以降の茶道の普及があります。狭い茶室では正座がもっとも場所を取らない座り方であり、茶道の礼法として正座が定着したことで、正式な座法としての地位が高まりました。
5. 「畳」の普及との関係
正座の普及は畳の普及とも関連しています。畳が一般家庭に広まったのは江戸時代中期以降で、畳の上での座り方として正座が自然に選ばれるようになりました。板張りの床では膝が痛くて正座は困難です。
6. 「跪座(きざ)」「端座(たんざ)」との違い
正座に似た座法として「跪座(きざ)」はつま先を立てた正座、「端座(たんざ)」は正座とほぼ同義の古い表現です。「正座」という呼び名自体が定着したのは明治以降で、それ以前は「端座」「危座(きざ)」などと呼ばれていました。
7. 正座は健康に良いのか悪いのか
正座の健康への影響については賛否があります。足のしびれや膝への負担が指摘される一方で、骨盤が安定して姿勢が良くなる効果があるとされています。長時間の正座は血行不良の原因になりますが、短時間であれば体幹の安定に寄与するとする見方もあります。
8. 「正座椅子」の登場
正座が苦手な人のために「正座椅子」が開発されています。膝の間に小さな台を置いて臀部を載せることで、膝への負担を軽減しながら正座の姿勢を保つことができる補助具です。
9. 海外から見た「SEIZA」
正座は外国人にとって最も辛い日本の文化の一つとしてしばしば挙げられます。膝を深く曲げた状態で長時間座ることに慣れていないため、数分で足がしびれてしまうことが多いようです。
10. 正座離れの現代
椅子の生活が主流になった現代では、正座をする機会は大幅に減少しています。学校の授業も椅子と机で行われ、正座を日常的にするのは茶道・華道・武道・法事などの限られた場面になりつつあります。
「正しい座り方」と名付けられた正座が、実は明治時代に定まった比較的新しい礼法だったという事実。それ以前の日本人はもっと自由に座っていました。「正しさ」は時代とともに変わるものだと、正座の歴史は教えてくれます。