「すったもんだ」の語源は"擦った揉んだ"?揉め事を表す言葉の由来


1. 「擦った揉んだ」が語源

「すったもんだ」の語源は「擦った(すった)」と「揉んだ(もんだ)」の組み合わせです。人と人がぶつかり合い、擦れ合い、揉め合う様子を表した言葉で、口論や騒動を指す表現として定着しました。

2. 「揉める」は物理的な動作から比喩へ

「揉める」はもともと手で揉む物理的な動作を意味していましたが、そこから「人同士がぶつかり合う=もめ事になる」という比喩的な意味に発展しました。「すったもんだ」の「揉んだ」もこの比喩的な用法です。

3. 「擦る」にも争いの意味がある

「擦る(する)」は物と物がこすれ合う動作ですが、古語では「口で擦る=口論する」「人と擦れる=軋轢が生じる」という意味もありました。「すれ違い」「擦れっからし」など、人間関係の摩擦を表す表現に「擦る」が使われているのも同じ流れです。

4. 江戸時代の文献にも登場

「すったもんだ」は江戸時代の歌舞伎や洒落本にすでに登場しています。当時から口語的に使われていた庶民的な表現で、揉め事や騒ぎ立てる場面を生き生きと描写する言葉として親しまれていました。

5. 「の末」「の挙句」と組み合わせる

「すったもんだ」は「すったもんだの末に決まった」「すったもんだの挙句に中止になった」のように、「の末」「の挙句」と組み合わせて使うことが多い表現です。紆余曲折を経た結果を述べる場面で効果的に使われます。

6. 1990年代のCMで再注目

「すったもんだ」は1990年代のテレビCMで使われたことで改めて注目を集めました。日常会話では使用頻度が下がりつつあった言葉が、メディアの力で再び広く認知されるようになった例です。

7. 「ごたごた」「もめごと」との使い分け

「すったもんだ」「ごたごた」「もめごと」はいずれも揉め事を表しますが、ニュアンスが異なります。「すったもんだ」は過程の騒がしさに焦点があり、「ごたごた」は状態の乱雑さを、「もめごと」は争い事そのものを指します。

8. 擬態語的な音の効果

「すった」「もんだ」という音はリズミカルで、擬態語的な響きを持っています。「す」の摩擦音と「もん」のこもった音の組み合わせが、人々がごちゃごちゃと揉めている場面を音で再現しているかのようです。

9. 議会や政治の場面でよく使われる

「すったもんだの末に法案が可決」のように、政治や議会の報道で「すったもんだ」はよく使われます。意見の対立や駆け引きを経て物事が決まる過程を一言で表現できる便利な言葉として、ジャーナリズムでも定着しています。

10. 否定的だが結果は出る表現

「すったもんだ」は揉め事を表すネガティブな言葉ですが、「すったもんだの末に決着がついた」のように、最終的には何らかの結果に至ることを前提として使われることが多いです。混乱を経つつも前に進むプロセスを描く、日本語らしい表現です。


擦って揉んで、ぶつかり合って。「すったもんだ」という言葉のリズムそのものが、人々が入り乱れて騒ぐ場面を音で描き出しています。揉め事の最中にこそ、物事が動くエネルギーがあるのかもしれません。