「台風」の語源は?中国語・アラビア語・ギリシャ語、諸説入り乱れる由来


「台風」の語源は複数の説が入り乱れる

「台風(たいふう)」の語源については、中国語・アラビア語・ギリシャ語にまたがる複数の説があり、単純に一つの起源に絞ることができません。日本語の「台風」は中国語の「颱風(タイフウ)」から来ていますが、その「颱風」自体の起源がさらに複雑です。

中国語「颱風(タイフウ)」からの借用

日本語の「台風」は中国語の「颱風(タイフウ)」を取り入れたものです。「颱」は強い風・暴風を意味する漢字で、台湾・中国南部・フィリピン周辺で発生する熱帯低気圧に名付けられました。

アラビア語「tufan(トゥファーン)」との関係

「台風」の原語と関連するとされる言葉に、アラビア語の「tufan(トゥファーン)=嵐・大洪水」があります。イスラム商人がインド洋を往来する中で使っていた言葉が、中国を経由して東アジアに伝わったという説です。

ギリシャ神話「ティポーン(Typhon)」との類似

ギリシャ神話の嵐の怪物「ティポーン(Typhon)」も「typhoon(台風)」の語源の一つとして言及されます。ギリシャ語がアラビア語に取り入れられ、さらに東に伝わったという経路の可能性が指摘されています。

英語の「typhoon」との関係

英語の「typhoon(タイフーン)」は広東語の「大風(ダーフォン)」や「颱風(タイフォン)」が変化したとも言われます。17〜18世紀のヨーロッパの航海者が中国・東南アジア周辺の嵐を指す言葉として使い始め、広まりました。

台風とハリケーン・サイクロンの違い

「台風」「ハリケーン」「サイクロン」はすべて熱帯低気圧ですが、発生する海域で呼び名が異なります。北西太平洋で発生するものが「台風」、北大西洋・北東太平洋が「ハリケーン」、インド洋・南太平洋が「サイクロン」です。気象学的には同じ現象です。

「台風一過(たいふういっか)」という表現

「台風一過」は台風が通り過ぎた後に空が晴れわたる様子を指します。「一家(いっか)」ではなく「一過(いっか)=一瞬通り過ぎる」で、台風一過の晴天はしばしば初秋の爽やかさを象徴する表現として使われます。

日本と台風の歴史的関係

日本は台風の通り道に位置しており、古来から台風による被害と向き合ってきました。「二百十日(にひゃくとおか)」は立春から210日目(9月1日ごろ)で台風が多い時期とされ、農家が特に警戒した日として暦に記されています。

複数の文明が名付けた嵐

「台風」という言葉はギリシャ・アラビア・中国・日本という複数の文明が関わり合いながら生み出した名前です。ユーラシア大陸を横断した交易と文化の交流が、一つの気象現象の名前に凝縮されているのは、言語の面白さを示す好例といえます。